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2011/06/17

物語としての「チョコレート・ファイター」

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「チョコレート・ファイター」の感想を見ると、アクションはすごいけど、ストーリーがいまいちとか、ストーリーが暗いというのを観る。

感じ方は人それぞれと言ってしまえば、それまでなのだけど、私自身は、この物語が今ひとつとは思えないのです。
確かに決して明るいストーリーではありません。
爽快なアクションであったり、ハッピーエンドというわけでもありません。

でも、私は、この物語にひかれるのです、母と子の物語に。

ジンは、タイのマフィア、ナンバー8の情婦で、あこぎな商売の片棒を担いでいる。
そんな中で、ある男に出会う。
対立する組織の男、マサシ。
二人は、ひかれあい、愛し合うようになる。
そんな二人をナンバー8が見逃すはずもなく、マサシとジンは、引き裂かれる。

身重のジンは、組織を抜け、出産し、子供を育てていく。
子供を産み、育てていく中で、ジンは、子供を愛する母になっていく。
そんなジンを執拗に追うナンバー8。
ジンは住んでいるところを突き止められ、報復を受ける。

それでも、ジンは、子供を慈しみ、育てていく。
しかし、どんなに子供を慈しんでも、ジンの罪深さは消えない。

そして、成長したジンの子供、ゼン。
病にかかった母のため、お金を稼ごうと、昔、母がお金を貸した人たちの元へ向かう。
その行為は、さらなるトラブルの火種となっていく。

この物語には、タイの仏教の考え方が、反映されている部分があると思います。
そういう、その国においての考え方などを抜きにしては語れない物語なのではないかとも思っています。

また、ゼンが自閉症であると言う設定。
この部分が物語りに深く関わっていると思うのです。
自閉症への正しい理解がないことも、この物語を今ひとつだと感じてしまう要因なのではないかと思っています。

ストーリーがいまいちという人はどんなストーリーだったら気に入ったのだろう?
みんながみんな気に入るストーリーなどはないと思うけど、ちょっと聞いてみたい気がしました。

いずれ、「チョコレート2(チョコレート・ファイター2)」が製作されるでしょう。
前作の流れを組むのであれば、マサシが、自閉症のゼンを日本に連れてきた後の話になることでしょう。

「チョコレート・ファイター」の物語をいまいちだと感じた人は、どんな話を望むのでしょう?
アクションがすごければ、ストーリーはどんなものでもいいと思うのでしょうか?

私は、物語があってこそのアクションだと思っています。
そして、「チョコレート2(チョコレート・ファイター2)」でどんな物語が紡ぎ出されるのか、今から楽しみにしています。
ゼンがゼンらしく生きる話であって欲しいと願っています。

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チョコレート・ファイター」カテゴリの記事

コメント

 NAOさん、何時も情報ありがとうございます。
私は「チョコ1」のストーリーも設定もとても気に入っています。それだけに、「チョコ2」が日本人スタッフによって、日本のアクション映画で見飽きた単純なストーリーにされる事を危惧しています。
「チョコ1」のイメージを壊さない為にもあまり日本人スタッフに口を出して欲しくないと思っています。

投稿: 加藤接骨院 | 2011/06/18 14:26

タイと日本の合作というわけでもありませんし、そこまで、日本側が、口を挟めるとも思えないのです。
資本をかなり入れると言うのであれば別ですが・・・。

「チョコレート2」を作るとしたら、世界のマーケットを見据えた作品になると思います。
日本側のスタッフがどのように関わるかはわかりませんが、そのようなことがないことを願っていますし、まずそういったことはないのではないかとも思っています。
何か確信があるわけではありませんが・・・。

投稿: NAO | 2011/06/19 17:48

トラックバックありがとうございました
トラックバックが返信できませんでしたので
コメントで失礼します

NAOさんはアクションだけじゃなくて、ストーリーにも深みを見出されたんですね
素敵なことだと思います
チョコ2は楽しみに思いますが、
ストーリーも楽しめる作品になっていればいいなと私も思います(ストーリーは平凡とのたまった私がなんですが…)

投稿: maki | 2011/09/09 18:56

makiさん、コメント、ありがとうございます。
トラックバック、すいません。
なぜか承認待ちの形になっていました。

私はちょっとはまりすぎてるかもしれません。(^-^;)
ジージャーには、どんどんいろんな作品に出て早く「チョコレート・ファイター」を超える作品にであって欲しいなぁと思っています。

投稿: NAO | 2011/09/09 20:50

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