ジージャー:頑固に、美しく、猛々しく その3
観た人によって色々と感じ方はあると思いますが、自分が映画を観ての思いを書いてみたいと思います。
(ストーリーにふれています。)
ジージャーが演じたドゥという女の子。
大きな屋敷に一人で住んでいるところからすると、比較的裕福な家庭に育っているのでしょう。
もしかしたら、物質的には何不自由なく育っていたのかもしれません。
ただ、精神面では、人によくだまされたり、母との折り合いも決していいという風には見えませんでした。
そんな彼女が、バンドの演奏の時に、トラブルを起こし、バンドをクビになってしまいます。
また、草むらで父親に語りかけるシーンで、こちらはつらいことばかりだとつぶやいています。
でも、このとき、ドゥ自身は、自分自身に問題があるとは思っていなかったのでしょう。
酔って街をふらふらしているところをギャングにさらわれそうになり、サニムたちに助けられます。
サニムたちの拳法を習おうとしますが、理由をかっこいいからと言うように、心から自分の身を守るとか、人を守るとかそういうことではじめたわけではないようでした。
やがて、拳法が上達して、一人で、敵のアジトに乗り込み、派手な立ち回りを演じます。
ドゥ自身はいい気になっていますが、サニムたちは、彼女の様子に心を痛めます。
サニムたちは、彼女を試す為のバトルを行い、彼女は、そのバトルに敗れます。
バトルに敗れた翌日、サニムたちの隠れ家へ来たものの、そこはもぬけの殻でした。
失意のドゥは、手紙を見つけます。
サニムはドゥへの手紙の中で、なぜ、ドゥに拳法を教えたのか、なぜバトルをして試したのかを伝えます。
そして、テストに合格できなかったことと、二度と会わないことを伝えます。
このとき、ドゥは、何を思ったのでしょう。
誰からも必要とされていないような疎外感が、それまではあったのではないかと思います。
自分が必要とされていたこと(たとえ、危険な囮としてであっても)を知った彼女。
お酒を飲み、街をさまよい、そして、彼女は決意を新たにしたのだと思います。
自分がどうあるべきなのか・・・。
キーワイと再び戦い、そして勝利します。
そして彼女は、私の心が弱いかどうかを勝手に判断しないで欲しいと言い放ちます。
その後、傷の手当てをされたドゥが扉を開きます。
これはとても象徴的なシーンだと思いました。
彼女が心を開いた、自分の弱さと向き合ったというように感じました。
サニムたちはお詫びにと、ひどくくさいお酒を飲みます。
冒頭の方で匂いがひどくて飲めたもんじゃないというお酒を。
その様子をやさしく見つめるドゥがいます。
心から、彼らの仲間になった瞬間なのだと思います。
そして、彼らは、ドゥを囮にしてジャガーたちの隠れ家を突き止め、ジャガーたちの組織をつぶすという行動に出ます。
しかし、ドゥが囮であることを見破られ、連れ去られてしまいます。
ドゥを助けられなかったことを悔やむ、サニム。
そして、必死で、ジャガーたちの隠れ家を探します。
捕らわれたドゥは、ジャガーの香水作りに利用されそうになります。
寸前で、ドゥは逃げ出します。
しかし、赤毛の男に捕まり、手ひどく暴行されます。
そこに、隠れ家を突き止めたサニムたちが乗り込んできます。
キーワイたちは、赤毛の男たちとの戦いに突入します。
サニムとドゥは、サニムのフィアンセ「パイ」を探して、アジトの中を奥に進みます。
やっとのことで、パイを見つけた、サニムたちですが、ジャガーに阻まれます。
ジャガーはかなり強く、サニムが戦っている間に、ドゥがパイを連れ出します。
ジャガーの元を逃れたサニムとドゥが、パイを連れて、吊り橋のところまで来た時に、再びジャガーが襲いかかります。
死闘の末、ジャガーを倒したものの、吊り橋から落ちそうになるサニムを支えるドゥ。
更に、吊り橋が揺れてパイが落ちそうになり、一人で二人を支えるドゥ。
サニムが離すように言うのに、ドゥは、あなたを死なせる為にここに来たわけではないと叫びます。
パイと一緒の生活をしてくれることを私は望んでいるとも・・・・。
ドゥはいろいろな経験を経て、人を思いやる人にと変わっていたのだと思います。
サニムは、ジャガーとの戦いで、傷つき、このままでは、誰もが助からないと思い、自ら手を離して、穴に落ちていきます。
思い出のペンダントをドゥに託して・・・。
しかし、ジャガーは倒されてはいませんでした。
パイとドゥを抱えたジャガーが別の部屋に現れます。
そこでは、キーワイたちが痛めつけられていました。
その痛めつけられている音をきき、ドゥが動きます。
ドゥの心が目覚めたのだと思います。
そこからのバトルは、ほんとに死闘です。
そして、赤毛の男を倒し、酔拳使いを倒し、そして、ついにはジャガーを倒すドゥ。
ドゥは叫びます。
「サニム、どこにいるの。見て。私、やったよ。」と。
タイトル「ジージャー:頑固に、美しく、猛々しく」ってどうなのという思いもありますが、ドゥのことを表す言葉として「頑固に、美しく、猛々しく」というのは、ぴったりくる言葉だと思います。
映画祭で、MCの方は、少し言いにくそうでした。
でも、邦題に、そのまま使うのは、センスとしてどうなのって気はしますが・・・。
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コメント
楽しく拝見しています。
私も日本語字幕版をみて
それほど悪い映画じゃないと
思いました。
トラバさせていただきました。
よろしくお願いします。
これからもホットなジージャーの
情報をお願いします。
投稿: 映画 | 2010/03/17 01:35
トラバの方、公開しました。
コメント、ありがとうございます。
大阪アジアン映画祭、近所に住んでいたら、通いたいラインナップです。
今回、作品を観て、映画に対する理解度と面白さの伝わり具合というのは、つながっている気がしました。
ぜひ、ジージャーの次回作も、日本のスクリーンで、日本語字幕で観てみたいと思いました。
まだ、撮影はこれからなんですけどね。
来年の大阪アジアン映画祭には間に合うかなぁ。
気の早い話ではありますが・・・・。
投稿: NAO | 2010/03/17 07:19